陸田三郎雑記

大暑（たいしょ）     2017年07月22日（旧暦06月29日）23:15

≪一帯一路≫

　ある物事を見聞したその時にはわからなくても、しばらくたってから「ああ、そういうことだったのか」とその真意や背景に合点がいくことがある。中国の習近平政権がいま掲げる「一帯一路」がその一つだ。

　私は昨年11月に陝西省の西安を訪ねた。そのとき、「中国五岳」の一つである華山にも足をのばした。西安市内の西安北駅から華山北駅まで高速鉄道（新幹線）を利用したのだが、早朝、始発駅の西安北駅に入り、その大きさ に私は仰天した。巨大なコンコースは日本人の感覚ではとても鉄道駅とは思えず、国際空港かと勘違いするほどだった。なにより驚愕したのはホームの数だ。ホームへの降り口がなんと18もあった。降り口一か所につきホームが２本あるとすると、総ホーム数は３０を超える（実際34ホーム）。

　日本の東京駅は東海道、東北、北陸などの各新幹線が発着する日本最大の駅だが、新幹線ホームは合計１０本しかない。西安北駅のホームの数がいかに多いかはこの比較からだけでも明らかだ。しかも、注目すべきは、私がみたところ西安北駅で実際にいま高速鉄道が発着するホームは数本しかないのだ。他の多くのホームはどうも使われているようすはなかった。

　今年５月、北京で一帯一路に関する国際会議が開かれ(*一帶一路（絲綢之路經濟帶和21世紀 海上絲綢之路）國際合作高峰論壇)) 、日本でも大きく報道された。このとき、私はやっと「そうか、西安北駅は一帯一路の鉄道の起点なのだ」と理解した。共産党政権が念頭においているのは、私のように一時間足らずの華山北駅に行くような客の輸送ではなく、新疆ウイグル自治区、その西にある中央アジア諸国さらには欧州とを高速鉄道で結ぶことなのだ。そう考えれば、西安北駅のホームがいまはほとんど使われていないことも理解できた。私がコンコースを国際空港と勘違いしたのも当然のことだった。

　あらためて調べてみると、『西安晩報』が2008年に西安北駅の計画を詳しく報道しており、そこにはあの巨大なコンコースの完成予想図もすでに掲載されていた。アジア最大の鉄道駅を目指すという。こんな壮大かつ長期的な構想は 日本では考えられない。単年度編成の予算にしばられ、目先の利用のめどがない事業に資金を投入する余裕はない。巨大な西安北駅は独裁政権ならではの強力な指導力なしには実現しなかっただろう。

　一帯一路構想に対しては、中国主導への警戒から日本や米国は努めて冷淡な姿勢だったが、5月の北京の会議あたりから風向きが変わり、「お付き合いをしないといけないか」といった雰囲気になっている。私が一つ気になるのは、この構想と台湾の関係だ。一帯一路は西への展開が基本となっているだけに、大陸側が台湾をどう位置付けているのかよくわからない。今後の大陸側の動きを注視していきたいと思っている。

　写真は、奥が見通せないほど巨大なコンコースと発車を待つ高速鉄道車両。

 ≪一帶一路≫

　  有些事情當你剛聽聞的時候不是很明白，但過了一陣子「阿！原來是這回事」，才理解到其真意及背景。中國習近平政權現在所推行的「一帶一路」就是其中一個例子。

　  我去年11月到訪陝西省西安市。那時候，也去了「中國五岳」之一的華山。從西安市的西安北站到華山北站是坐高速鐵道，但一大早進到發車站西安北站坐車時，車站的規模讓我目瞪口呆。巨大的車站中央大廳，用日本人的感覺來看完全不像是鐵路車站，而會讓人有種國際機場的錯覺。最讓人驚訝的是月台數量。月台入口竟然有18個。如果用一個入口有2個月台來算的話，總月台數超過30個(實際34個)。

　  日本的東京車站是連結東海道、東北及北陸等各新幹線，日本最大的車站。但新幹線的月台合計也不過１０個。西安北站的月台數，用這個來比較就很明顯。而且值得注意的是，就我所看到的西安北站，實際有高速鐵道發車的月台只有幾個，其他大多數的月台怎麼看起來都沒有在使用的樣子。

　  今年5月，北京招開一帶一路相關的國際峰會(*一帶一路（絲綢之路經濟帶和21世紀 海上絲綢之路）國際合作高峰論壇))，在日本也被大肆報導。這時候，我才理解到「原來，西安北站是一帶一路的鐵道起點阿」。原來共產黨政權所考慮的，不是像我所想的一樣，只是把到華山北站縮短到1小時不到的人員運輸，而是藉由高速鐵道將新疆維吾爾自治區、還有其西側的中亞各國、甚至是歐洲聯結起來。這樣想起來的話，就能理解為什麼西安北站的月台現在幾乎都還沒使用，而我會錯把車站中央大廳當成國際機場也是很自然的事了。

　  我重新查了一下，『西安晩報』在2008年有詳細報導過西安北站計畫，也早登載了那巨大的車站中央大廳的完成預想圖，目標是成為亞洲最大鐵道車站。這樣壯大且長期的構想，是日本無法想像的。被每一年度的預算綁住，沒有餘力去對眼前用不到的事業投入資金。巨大的西安北站，沒有獨裁政權的強大指導力應該是無法實現的吧。

　  對於一帶一路的構想，日本及美國因為對中國主導的警戒，一開始極力採取冷淡的姿態。但在5月的北京會議後風向改變，變成「真的是不得不參加嗎?」的氣氛。我關注到一點，這構想和台灣的關係。一帶一路基本上是往西展開，大陸方面是如何定位台灣定位的，不是很清楚。今後我想要持續關注大陸方面的動向。

　  照片是看不到盡頭的巨大西安車站中央大廳，還有等待發車的高速鐵路車輛。